![]() 監督/河瀬直美(2014 日=仏=米) 出演/村上虹郎、吉永淳 渡辺真起子、常田富士男 ■作品 奄美大島に住む高校生 界人と杏子。それぞれに家族の問題を抱え、苦悩し成長する姿を奄美の大自然を織り交ぜながら描く。 「肌に合わなければ観なけりゃいい」わけですが、既にこの監督作を何作かレビューしておりますので、不敵にも「最新作にして最高傑作」と自らのたまうその〈自信〉を拝見させていただくことに・・。そんなわけで、結局今回も辛辣なレビューになってしまいましたのでご勘弁ください。 奄美の雄大な海、幻想的な月の表情などに目を奪われる。しかしドラマとしては相変わらず流れをぶった切るような切り貼り調。プロアマ問わずキャストの浮いた演技は観ていてどうにも落ち着かない。吉永=村上のフレッシュコンビをはじめ、松田美由紀、杉本哲太など役者自体悪くないと思うけれど、相変わらずあってないような脚本(セリフ)が自主映画レベル。きっと監督の中では脳内補完されて完璧なのだろうけれど、幅広い観客の心を響かせるような本ではない。端から見れば大仰なテーマの割に圧倒的に表現力が不足しているのも毎度のこと。 カンヌで拒否反応が多かったという問題の山羊のシーンも、そのシーンを入れたいという欲求だけが先行しているように感じられる。確かにショッキングな映像ではあるが、テーマのひとつ「命」に絡めてこれを入れるのは何とも安直ではなかろうか。山羊の光景を見ながら杏子に「魂がぬけていく・・」と言わせてしまうのもねぇ。 河瀬監督とあうんの呼吸でシンクロできる観客にはきっと素晴らしく感じるのかも知れませんが、うがった見方をすれば、山羊のシーンにしてもロケ地にしてもetc・・すべてカンヌもしくは外国人へのアピールでしかないように見えて、作品に入るよりも監督が悦に入ってる様子が浮かんできてしまう。まぁ、その厚顔無恥を作家性と捉えるのもアリなのかもしれませんが、受け入れがたいですねぇ。 絵柄の美しさで他の河瀬作品よりはマシとも言えるが、この監督の作劇はやはりあざとく稚拙。 ドラマ部分は一切カットして奄美の自然だけを捉えたドキュメンタリーにすればまだ好感が持てたかも知れない。 ■画質・音質 スコープに捉えられた奄美の自然はみどころ。5.1chは環境音を中心にサラウンドの広がり良好。しかし、ドキュメントタッチと言えば聞こえはいいが、相変わらずボソボソと喋るセリフの殆どが聴き取りにくいのは頂けない(最もカンヌで外国人が字幕付きで観ることが前提ゆえ無問題なのかもしれないが) ■個人的採点(☆☆☆☆☆で満点、★は1/2) 作品 ☆☆ 画質 ☆☆☆☆ 音響 ☆☆☆☆ ポスター訴求度 ☆☆☆★ ★当ブログでご紹介した河瀬直美監督作品 「萌の朱雀」 「殯の森」 「七夜待」 |
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